大阪城エレベーター発言への批判に「遺憾」 首相が釈明

石井潤一郎 堀川勝元
[PR]

 安倍晋三首相は2日、大阪城の復元時にエレベーターを設置したのは「大きなミス」とした自身の発言について、自民党萩生田光一幹事長代行に「(障害者や高齢者が)『不自由でも仕方ない』と聞こえたことは遺憾」などと述べた。萩生田氏が記者団に明らかにした。

 首相は6月28日の主要20カ国・地域首脳会議G20サミット)の夕食会のあいさつで、大阪城へのエレベーター設置を「大きなミス」と発言し、「バリアフリーの考え方を理解していない」(共産・小池晃書記局長)などの批判を招いた。

 これに対し、首相は2日、自民党本部で萩生田氏と面会し、「(障害者や高齢者の)状況を軽視し、バリアフリー社会に異論を唱えるような発言ではない」と話したという。

 菅義偉官房長官も2日の閣議後会見で、「あいさつを読めば、まったく問題ない発言だ。大阪城の歴史的価値と復元の経緯に触れたものであり、批判されるような問題ではない」と述べた。(石井潤一郎)

名古屋城のエレベーター設置求める団体、首相に公開質問状

 安倍首相が大阪城にエレベーターを付けたことを「大きなミス」と発言した問題で、名古屋市の障害者らによる団体が2日、首相に発言の真意を問う公開質問状を出すことを明らかにした。

 「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」(名古屋市)のメンバーは2日に名古屋城総合事務所を訪れ、木造新天守にエレベーター設置を求める5911筆の署名を提出した。すでに提出している署名と合わせて1万9585筆になる。斎藤県三共同代表は「河村たかし市長は首相が同じようなことを言ってくれたと喜んでいるかもしれないが、政治がバリアフリーに無理解であることをさらけ出した」と批判。安倍首相にバリアフリーの認識を問うことを検討しているという。近藤佑次共同代表は「影響力の強い方々の発言で、バリアフリー化を目指す社会に逆行していくような形になるのが不安だ」と懸念を示した。

 名古屋城天守木造化を巡り、河村市長は「史実に忠実な復元」を掲げてエレベーターを設置せず、代わりに移動補助ロボットなどの「新技術」でバリアフリーを実現すると主張する。安倍首相の発言についても「伝統や文化を大事にせないかんという気持ちで話したんでしょう」と一定の理解を示している。(堀川勝元)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら