ニセ美術品対策にもビットコイン技術 ブロックチェーン

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杉本崇
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 国家に頼らない未来の通貨として期待されたビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)。投機の対象になって価格が乱高下したり、ハッキングを受けて資産が流出したりして、一時のブームは去ったが、その根幹技術である「ブロックチェーン」は今も活発に研究され、新規ビジネスが次々と生まれている。面倒な貿易の手続きを簡略化したり、流通の透明性を高めたりできると期待されている。

 「新興国では、ビットコインを使った貿易のニーズが高い」。ブロックチェーンを使った貿易の仕組みを作っている東京都港区のベンチャー「スタンデージ」の足立彰紀CEOは、ナイジェリアに事務所を構えるなかで実感した。

 少額の貿易だと、銀行の仲介手数料だけで赤字になってしまう。国民の多くが銀行口座を持てず、決済に必要な米ドルの流通量も少ない。このため、貿易ができるのは大企業に限られていた。

 足立さんはそこに、ビットコインなどで支払いでき、手数料も銀行の半分以下のサービスを持ち込んだ。実際に試したところ、銀行の仲介で1カ月かかっていた取引が1時間で済み、注文されたノートパソコンを2週間後には現地へ納められた。

 ブロックチェーンは、暗号資産を誰が支払い、受け取ったかといった取引歴を記録していく技術だ。電子マネーだと特定の会社や組織が管理するが、売り手や買い手全員が台帳を共有する。データが過去から順番につながっていくので履歴を確認しやすく、暗号化されて匿名性も高い。

 市場調査会社の矢野経済研究所は、ブロックチェーンが今後、金融分野だけでなく、商品が流通した履歴を管理したり、権利を証明したりといった用途へどんどん広がっていくと予測する。

鑑定歴や展示歴などを記録

 米IBMは、ブロックチェー…

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