研究したい、カネがない 考古学者は現地政府に就職した

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鵜飼啓
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 中米の小さな国エルサルバドルで25年近く、遺跡の調査や修復にあたっている柴田潮音(しおね)さん(55)。外国人ながら同国政府の職員になり、現地の考古学者の育成にも携わる。わずかな資金で食いつないだ時期もあったが、考古学者になりたいという子どもの頃の夢そのままの人生だ。

草サッカーで語学習得

 「とにかく行け」

 1995年、エルサルバドルで遺跡調査を計画していた恩師の大井邦明・京都外国語大教授(故人)に背中を押され、肩書もないまま同国に飛び込んだ。以来、現地に腰を据えて遺跡調査を続けている。

 愛知県生まれ。小学校低学年で世界4大文明に夢中になり、アンデス文明展で心躍らせた。卒業文集には「こう古学者になりたい」と書いた。大学時代は遺跡発掘作業の日当をためて、メキシコに1年間遊学。学校ではなく草サッカーを通じて生きたスペイン語を身につけた。「教室に行って言葉を覚えるとかだめなんですよ。だから、研究者なんて向いていない、と悟れば良かったんですけど」と笑う。

 メキシコ生活では、現地の人たちの明るさが肌に合った。「これだったら住めるな」と感じたという。いつかまたメキシコや中米で暮らしてみたいとの思いがあり、エルサルバドル行きを打診されたときは「『行ける』というのがうれしくて、すぐに『行きます!』と。何も考えてなかった」。

月4万円の「極楽とんぼ」

 だが、エルサルバドル暮らしは順風満帆というわけではなかった。

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 恩師の研究チームは91~9…

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