女性が接客時などに履く靴について、多くの企業がヒールの高さなどの規定を設けています。朝日新聞がそのことを報じたところ、ショップ店員だったという女性から「15cmのヒール着用を義務化され、買う靴を指定された。巻き爪になり、手術を受けた」という体験が寄せられました。

 ブランドイメージを体現するという役割と、安全に働き続けることは、両立できないのでしょうか。女性の思いを聞きました。

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 「ファッションは夢ある業界。だからこそ、若い人たちが安心して働き続けられるように変えていきたいんです」。東京都内のアパレル企業に勤める30代の女性は、こう話します。

 大学生の頃、東京都渋谷区の商業施設「渋谷109」にあった、あるギャルブランドのショップが大好きでした。客として通ううち、誘われてアルバイト店員に。「ブランドイメージのため」と、ヒール15cmの厚底ブーツを履いて店頭に立つよう、求められました。

 大学卒業まで約1年半にわたり、平日は4、5時間、週末は12時間近く店に立ったという女性。働き始めてほどなくして、指先がジンジンと痛み始めました。女性の足のサイズは24・5cmですが、指定されたブーツは、最も大きいLサイズでも実寸24cm足らずだったそうです。

 1カ月がすぎた頃には、親指の爪の左右が丸まって皮膚に食い込むように。やがて出血し、ひどく膿(う)んできました。たまらず皮膚科に駆け込むと、巻き爪と診断され、特にひどかった右足の手術を受けたといいます。

 患部に麻酔の注射が打たれる直前、2人の看護師に体を押さえ込まれました。次の瞬間、経験したことがないほどの激痛に見舞われたそうです。

 手術では、皮膚に食い込んだ爪…

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