チャプリン、J・ディーン…李香蘭、世界を駆けた交遊録

有料記事

編集委員・永井靖二
[PR]

 戦時下の大陸で中国人女優「李香蘭」として一世を風靡(ふうび)し、戦後も幅広い分野で活躍した山口淑子さん(1920~2014)が亡くなってまもなく5年。未完に終わった晩年のインタビューの公開に遺族が同意し、朝日新聞デジタルで肉声を含めて公開されている。その生涯は、彫刻家イサム・ノグチや喜劇王チャプリン、若くして亡くなった俳優ジェームス・ディーンら華々しい顔ぶれや要人に彩られている。

 「白頭山の抗日遊撃隊時代に、あなたの写真や絵を、たくさん見ました」

 1975年7月、北朝鮮国家主席金日成(1912~1994)は、山口さんに打ち明けた。

 山口さんが参議院議員になって2年目、自民党訪朝団(団長・田村元)の一員として平壌で宴席に招かれた時のこと。自伝などによると、金主席の真正面に席を指定された山口さんに、主席は「李香蘭さん……」と日本語で呼びかけた後、朝鮮語でそう告げたという。満州映画協会(満映)の看板女優として日中友好をうたう国策映画に出演していた李香蘭だが、当時抗日ゲリラの幹部だった金日成も、実はファンの一人だった。

「満州の夜の帝王」と

 その満映の理事長は、甘粕正彦(1891~1945)だった。元憲兵大尉で1923年9月、関東大震災の混乱に乗じ、無政府主義者大杉栄らを虐殺したことで知られる。

ここから続き

 服役後は旧満州中国東北部

この記事は有料記事です。残り3102文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら