北朝鮮、止まらぬ瀬取り 監視は「猫とネズミのゲーム」

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編集委員・牧野愛博 ニューヨーク=藤原学思
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 北朝鮮が海上で船の積み荷を移す「瀬取り」の手法で続ける密輸が止まらない。非核化をめぐる米朝協議の先行きの不透明さを懸念し、国連制裁が続く中で、食糧や燃料の備蓄を強化しているようだ。日米などは中国の領海などが違法行為の「主戦場」とみて警戒を強めている。

 瀬取りの監視に従事する海上自衛隊P3C哨戒機の機長は今年6月、朝日新聞の書面インタビューに応じた。海自は那覇(沖縄県)と鹿屋(鹿児島県)の両基地を起点に東シナ海で警戒監視を行っている。

 機長は「P3C搭載レーダーなどを使い、徐々に近づいて安全な高度と距離を保ち、目視と赤外線装置などで目標を確認する」と監視の実態を説明。ある時は夜間に洋上に浮かぶ船の多数の明かりから、種類の異なる明かりを見つけ、タンカー2隻が接舷する様子を確認した。2隻は夜明け前には離れたという。

 別の自衛隊関係者などによると、夜間は探照灯をつけた漁船が最も明るい一方、軍艦が最も暗い。長年の経験と勘を駆使し、瀬取りに関与する船舶を絞り込む。公海では、対象の船の船籍が登録された国の同意がなければ取り締まれず、日米などは現在、監視活動にとどめているという。

 監視活動で大切なのは広い洋上で関係エリアを特定することだ。日米などの関係国は、米横須賀基地神奈川県横須賀市)を母港とする米海軍第7艦隊旗艦ブルーリッジを拠点に、相互に情報収集して監視エリアを決めている。

 政府関係者によると、近年、「瀬取り銀座」と呼ばれる多発地は、中国・上海と沖縄本島尖閣諸島に近い海域とされる。日米などが接近しにくい朝鮮半島西側の黄海北部でも行われている疑いがあるという。

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