津波が生んだ命たち 貴重な動植物とともに歩む復興の道

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本田雅和
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 東日本大震災で壊滅した岩手県大槌町の中心市街地が一部、湿地帯となり、絶滅が危ぶまれるミズアオイやイトヨの新たな交雑種が繁殖している。奇(く)しくも津波の浸食がもたらした産物だ。町は今後、人が住めなくなった2ヘクタールを「生物多様性が観察できる自然保護区域」として整備していく。

眠った種、目を覚ます

 三陸鉄道リアス線・大槌駅の南東に広がる湧水(ゆうすい)地帯。5月下旬、岩手県立大の島田直明准教授(植生学)や日本ビオトープ協会(東京)の野沢日出夫副会長が、地元の環境保護グループのメンバーらと現地を訪れた。環境省のレッドリストで準絶滅危惧種、岩手県のレッドリストでAランク(近い将来の絶滅の危険性)となっている水生植物ミズアオイの観察とサンプルの採取が目的だ。

 かつては水田が広がり、ミズアオイが繁茂していたが、戦後から高度成長期にかけて市街地が拡大。水田は姿を消し、大槌駅前は住宅地となってミズアオイが確認できなくなった。しかし8年前、津波が表土を洗い去り、地中に眠っていたミズアオイの種子が地表に出て、豊富な湧水の中で再繁殖したという。

 農薬の使用が広がったことに…

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