「縮む米国」が緊張緩和を阻む 視界開けぬ米中の行方

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解説 沢村亙・アメリカ総局長

 「Push back」(押し返せ)。米国の政治家や役人、経済人が最近頻繁に口にする言葉である。

 トランプ大統領の独善的な統治で分断が進む米国の政治や社会だが、「対中強硬」に限っては超党派の共闘が成立している。「退却するな。強さこそが中国に勝つ道だ」。米上院民主党トップはトランプ政権が発表した対中追加関税にこんな「エール」を送った。

 中国の発展を支援すれば改革や民主化も進む期待が裏切られた失望感。人工知能など先端分野で米国を凌駕(りょうが)する勢いの中国の技術開発。「一帯一路」に象徴される独自秩序の構築。いま中国を抑え込まねば、外交・経済・科学技術・軍事での米国の支配的地位は永久に奪われてしまう。

 そんな焦りがいま米国で噴き出している。引き金を引いたのは「米国は通商や安全保障で他国の食い物にされてきた」とあおりたてるトランプ大統領だ。

 29日の会談で米中首脳は中断していた貿易協議再開で合意した。トランプ氏は記者会見で「私は習近平(シーチンピン)国家主席とすばらしい関係にある」と、個人的な蜜月で難局を打開したかのように自賛した。だが、不信の連鎖が続く限り、米中の緊張は再燃するだろう。

 会談冒頭、習氏は1971年…

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