どこもかしこもペイ祭り スマホ決済還元に潜む戦略とは

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村井七緒子 栗林史子
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 レジでスマートフォン画面にバーコードなどを表示し、店員が「ピッ」と読み取れば支払い完了――そんなスマートフォン決済が花盛りだ。IT系の「PayPayペイペイ)」や「LINE Pay(ペイ)」などに加え、コンビニや携帯電話キャリアも参入。電子マネーなどによる高率の還元など、バラマキともいえる顧客の囲い込みが続いている。そこまで各社がスマホ決済を進めるのはなぜなのか。

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 都内のドラッグストア。6月、レジの近くにはこんなチラシが貼られていた。

 「おトクなスマホ決済キャンペーン 10%戻ってくる」

 ペイペイの還元キャンペーンを知らせるものだ。同社はヤフーとソフトバンクが出資する。キャンペーンでは、提携するドラッグストアでペイペイを使って決済すれば、電子マネーで10%相当が還元された。

 7月からは業種を変え、提携する飲食店やスーパーで同様のキャンペーンを行っている。

 ペイペイは昨年12月、総額100億円の還元キャンペーンを実施し、利用が殺到してわずか10日で終了。今年2月には利用に上限を設け、5月中旬まで再び総額100億円のキャンペーンを実施した。

 LINEペイも対抗するかのように還元キャンペーンを繰り広げてきた。5月にはLINEの「友だち」に千円相当の電子マネーを無料で送れる総額300億円のキャンペーンを実施。6月上旬には店舗決済での20%還元を行い、23~30日には提携するコンビニエンスストアで20%還元を実施した。さながら還元合戦の様相だ。

 こうしたスマホ決済は、アプリをダウンロードし、銀行口座と連携させ、口座からお金をチャージして使うのが一般的。レジではスマホ画面に表示したバーコードやQRコードを読み取ってもらうなどして支払う。小銭を出す手間はなく、慣れれば操作は簡単だ。

PayPayの100億円キャンペーンの成果は。描く戦略とは――。PayPay・中山一郎CEOとLINE Pay・長福久弘COOに聞きました。

 ただ多くの人は便利さより、還元を目当てに使っている側面が大きい。ペイペイの場合、キャンペーンがない場合の還元率は3%にとどまる。ドラッグストアでペイペイを使って買い物をした男子大学生(22)は「割引に慣れちゃうと、3%に戻ったときに損した気になる」。

 還元に引き寄せられるようにスマホ決済を使い始める人は増えている。ドラッグストアのウエルシア薬局では、6月の総決済金額に占めるスマホ決済の割合は、20日時点で約4%と、前月の2.5%から上昇。清田明信・販促企画部長は「こんなにすぐに伸びるとは思っていなかった」という。

 スマホ決済は現金を使わない「キャッシュレス」決済の一種だ。従来はクレジットカードやデビットカード、非接触型ICを使うJR東日本の電子マネー「Suica(スイカ)」などが多かったが、ここへ来てスマホ決済が一気に増えてきた。ペイペイやLINEペイのほか、メルカリNTTドコモなども参入。7月からはコンビニエンスストア最大手のセブン-イレブンやファミリーマートも始めた。

 サービスが乱立気味の中、各社は利用者を増やそうと躍起だ。消費者には「還元」で、システムを導入する店には、「手数料」でメリットをアピールする。

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 とくに狙っているのが、これ…

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