「はなちゃんのみそ汁」もう一つの家族の実話

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金子元希
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 5歳のはなちゃんと、ネクタイ姿の父親が座る食卓に、朝のやわらかな光が差し込んでいる。はなちゃんは自分でつくったみそ汁を口にして思わず「あちっ」と言う。父親は「ふうふうして」と笑う。

 がんで余命わずかな母親が、幼いわが子にみそ汁作りを教える家族の物語。東京の中学3年、寺田羽菜(はな)さん(14)お気に入りの映画のラストシーンだ。

 初めて見たのは、公開から間もない小学5年のときだった。翌日、病室に父を見舞った。羽菜さんの父も末期がんで闘病していた。ベッドのわきに、はなちゃんの映画のチラシが貼ってあるのに気づいた。

 〈あなたは子どもに何をのこせますか?〉

 キャッチコピーを見て、「お母さんだったら、何をのこす?」と母にたずねた。「映画」。そう答えたのは、ベッドで横になる父だった。父・寺田緑郎(ろくろう)が、この映画「はなちゃんのみそ汁」のカメラマンをつとめていた。

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 映画館や自宅のリビングで…

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