既存の性に挑んだ人々の物語 始まりは木造家屋だった

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田中ゑれ奈
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 1990年代、京都の美術関係者らが集まりアートや社会運動の拠点となったシェアオフィス「アートスケープ」。その関連資料を中心に、ジェンダーやセクシュアリティーにまつわる博物館をつくるとしたら――。そんな思考実験に基づく企画展「ヒューマンライツ&リブ博物館―アートスケープ資料が語るハストリーズ」が、京都市左京区京都精華大学ギャラリーフロールで開かれている。「既存の性」に挑んだ歴史を振り返ることができる展示だ。

 アートスケープは1992年に京都大学裏手の木造家屋に設けられ、2000年代初頭には活動を終息させたが、家屋は別団体に継承され10年ごろまで使われた。企画展では、関係者が保管していた制作物や収集物、記録映像などでアートスケープとそれに関連する活動、コミュニティーを紹介。さまざまな人権活動のプラカードやバナーを集めたアーカイブや、京都のクラブで現在も続く、派手な化粧や女性装を伴うパフォーマンスで女性の性をパロディー化するドラァグクイーン・パーティー「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」をテーマにした展示室もある。

 アートスケープの設立メンバーは、京都を中心に国際的に活動していたアーティスト集団「ダムタイプ」の小山田徹や演劇プロデューサー遠藤寿美子ら6人。当初はジャンルを問わず表現の拠点となるアートセンターが構想されたが、92年10月にダムタイプの古橋悌二がHIVの感染を告白。93年ごろから、HIV・エイズ関連の運動に携わる美術家や学生らが盛んに出入りするようになった。

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 柱となったのが、望ましい啓…

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