無罪叫び40年…開かなかった扉 再審取り消しに沈痛

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井東礁 小瀬康太郎 北沢拓也
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 開きかけた扉が、再び閉ざされた――。1979年に鹿児島県大崎町で起きた「大崎事件」で、最高裁は、男性を殺害したとして約10年間服役した義姉の原口アヤ子さん(92)の再審開始決定を取り消した。もたらされた知らせに、弁護団や支援者は声を失った。

無罪信じ「このままでは死ねない」

 鹿児島県内の病院に入院する原口アヤ子さんは今月15日、92歳になった。弁護団によると、ここ数年は体の衰えが目立つという。軽い脳梗塞(こうそく)を患い、言葉を発する力も弱まった。

 7日には、誕生日を祝う会が病院であり、支援者らが「無罪になるよ」と原口さんの手をにぎって呼びかけると、小さく「はい」と返事した。

 「やっちょらん」。捜査段階から一貫して原口さんは無罪を訴え続けた。「(無罪を勝ち取るため)執念で生きている」と支援者は言う。懲役10年の実刑判決を受けて服役中、仮釈放を勧められたが「罪を認めることになる」と断ったという。

 事件発生から40年。共犯とされた義弟は自殺。実家の火事で父も亡くなり、心の支えだった母も亡くした。1990年に出所した後、離婚。元夫は93年に病死し、おいも再審請求中の2001年に自殺した。

 「みんなに迷惑をかけるから…

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