広島)豪雨被害の原爆慰霊碑、移転作業が本格化

宮崎園子
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 広島県坂町のJR小屋浦駅近くの原爆慰霊碑の高台への移転作業で、慰霊碑本体を台座に据え付ける工事が26日、移転先の小屋浦公園であった。7月半ばごろには工事が終わる見通しで、8月6日には新しい場所で最初の慰霊祭を執り行う。

 この日午前、石材店の職人たちが重さ350キロほどの慰霊碑本体をクレーンでつり上げ、台座に据え付けて根元をセメントで固めた。事前に慰霊碑の碑文は黒く塗り直した。作業を担当した「金子石材店」の金子建治社長(58)は「無事に移せてほっとした」。今後、元と同じように慰霊碑の後ろにヤブツバキを植え、周囲に縁石を並べるなどの作業がある。

 1987年建立の慰霊碑は、山すその線路脇にあった。昨年7月の豪雨で裏山が崩れ落ちて埋もれたため、遺族の意向も確認した上で住民が移設を決めた。建立時の資料には66人分の遺品を埋めたとの記録があり、6月初旬の元の場所からの撤去時に台座の下を掘り起こしたが見つからなかった。元の場所は、運ばれてきた後亡くなった被爆者の埋葬の場所でもあり、「原爆慰霊碑を守る会」の西谷敏樹代表(73)は、「ここから全部持ち去るなというあの人たちの声のような気がして」と、捜索を打ち切ったことを明らかにした。(宮崎園子)

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