宮司が明かす神社の懐事情 型破りな経営で参拝客3倍に

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聞き手・石橋英昭
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 縁結びの神様にあやかって合コンを催し、境内ではマルシェに野外ライブ。創建1300年、宮城県名取市・熊野那智神社の井上幸太郎宮司(40)は、一風変わった神社経営に乗り出している。保守的とされる神社界の、ぶっちゃけ話を聞いてみた。

 ――神社の家(社家)出身ではないんですね。

 「愛知県の小料理屋の長男です。民俗学が好きで東京の国学院大に進み、そのまま神職に。大学に来た求人案内から、縁もゆかりもなかった岩沼市の金蛇水神社に就職しました」

 「ただ、神社は世襲が一般的。社家以外の者が宮司になることは、ほとんどない。熊野那智神社は前任者の後を子供が継がず、いくつか縁も重なり、地域の神社トップ・竹駒神社の差配で2015年11月、宮司になりました」

 ――最初にやったことは何ですか。

 「高館山頂にある小さな神社ですが、うっそうとした林に囲まれ、さびれていた。でも歴史は古く、境内には滝があり、仙台にも近い。売り出せるコンテンツはあると思ったんです。デザイン会社に依頼し、神社の『ブランディング』に取り組んだ。社紋とロゴマークをつくってもらい、ポップな風呂敷や絵馬、お守りなどを商品化。八咫烏(やたがらす)や名取川がモチーフです」

 「お参りの人が『これってどんな意味?』と尋ねてくれば、話がはずむ。面白い宮司がいるとなると、立ち寄る人も増える。1万人ほどだった年間参拝客は3万人に増えました」

 ――「経営」の面はどうでしょう。

 「以前500世帯以上いた氏…

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