「国はだまし、民を捨てる」荻原博子さんは国を信じない

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大村美香
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 専門用語に支配されがちな経済の動きを、分かりやすく身近な言葉で解説する経済ジャーナリスト荻原博子さん。著作は100冊以上になりますが、最初に出版された原稿はルポライターとして旧満州中国東北部)の開拓団の道のりを追った実録でした。そこに待っていたのは苦い挫折と、国に対する不信感。いま荻原さんはデビュー作を「私にとっての基本」と振り返ります。

 「満州・浅間開拓の記」は、1983(昭和58)年に出版されました。長野県の出版社の依頼で、第1編の開拓史を取材・執筆しました。

 長野県の旧大日向村は国策に従い37(同12)年から分村移民を実施し、750人あまりの村民が旧満州に渡りました。モデル的開拓と言われ、小説や映画にもなりましたが、敗戦で開拓団の人々は大陸に取り残されます。命からがら逃げて帰国できた人はおよそ半数。しかも戻った村に生きる場所はなく、浅間山ろくに再び入植したのです。

 ルポライターになりたくて、働いていた経済評論家の事務所を辞め、最初の仕事がこの本でした。

 再び入植した地区に半年間通いました。体験者の話はあまりに過酷で、戦争を知らない私には想像も及ばないことばかり。ともかくも原稿は書き上げたものの、しばらく心が不安定になってしまいました。当時の私には、かかえきれなかったんです。

 人の人生を背負うルポライタ…

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