広がる新型出生前診断 重い判断、学会指針だけでは限界

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大岩ゆり 水戸部六美
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 おなかの赤ちゃんの染色体の変化を調べる新型出生前診断(NIPT)のあり方について、厚生労働省が検討する方針を打ち出した。背景には、学会が認定しない施設での実施が増えるなど、命の選別につながる診断を強制力のない学術団体の指針だけで進める限界がある。

 NIPTには産むか産まないかという重い決断が伴う。これまでダウン症などの疑いが指摘された人の8割近くは中絶を選んだ。このため本来は検査の前後に十分なカウンセリングが欠かせない。当初は臨床研究として、日本産科婦人科学会(日産婦)や日本小児科学会、日本人類遺伝学会など関連5団体の議論を経て、日本医学会が認定する施設だけで実施する形で始まった。

 一方、血液の分析は検査会社が担うため、カウンセリングを除けば、医療機関では採血するだけ。自費診療なので価格も自由に決められる。「検査会社との契約を安く抑え、カウンセリングを手抜きすれば、利益率が上がる」とある認定施設の産婦人科医は話す。

 認定外でNIPTを実施しても罰則はないため、一部の民間クリニックなどは、2016年ごろから参入。形成外科医や精神科医など産婦人科以外の医師が、ネットに広告を出し、現在の指針で対象外の35歳未満も対象にしたり、安さを売りにしたりするところも現れている。

 こうした状況を受け、日産婦…

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