人工孵化ウナギ実用化「光見えた」 食卓にうな重戻るか

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荻原千明
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 研究室で生まれたニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)は、民間の養殖池に移しても立派に育ちました――。水産庁などは21日、長年取り組んできたウナギの養殖技術の研究成果を発表した。発表会場では、そのウナギを使った「世界初」でおそらく最も高価な「うな重」も振る舞われた。

 東京・霞が関農林水産省内に設けられた会場。関係者らに提供されたうな重には、厚さ1センチ近いかば焼きが載っていた。口当たりは柔らかく、甘みが広がる。くさみや癖もまったくないこのかば焼きは、「おそらく世界初」(水産庁研究指導課の担当者)の一品だという。

 かば焼きになったニホンウナギは、国立研究開発法人「水産研究・教育機構」の水槽がふるさとだ。鹿児島県志布志市の研究拠点で、メスとオスを入れた水槽に刺激を与えて受精卵を得て、人工的に孵化(ふか)。静岡県南伊豆町の拠点でシラスウナギに育てられた。

 人工シラスウナギの研究は1960年代に始まり、2010年には研究施設内での「完全養殖」ができるようになっていた。そこで人工孵化させたシラスウナギ約300匹が昨年夏、初めて研究施設の外に出た。研究室育ちのシラスウナギが、民間の養殖池に入れられてどう育つかの試験が始まった。

 約300匹を預かったのは、鹿児島県の養殖業者「鹿児島鰻(うなぎ)」と「山田水産」。鹿児島鰻によると、320日経過した時点で、出荷サイズの200グラムに育ったのは46%。成長中のウナギもおり、8割近くが出荷サイズになる見通しだ。輸送方法の改善などで、その割合は更に高められそうだという。

 山田水産の山田信太郎専務(…

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