「なぜ吐く、死ね」異国の生活 仲間を手にかけた実習生

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松田果穂
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 2DKのアパートで共同生活を送っていた中国からの技能実習生。女性3人の異国暮らしは、わずか1カ月で幕を下ろした。1人は被告に、1人は遺体に。一体何があったのか。

 群馬県伊勢崎市で昨年10月27日、同居していた李雪さん(当時25)に暴行を加えて死なせたとして、傷害致死罪に問われた劉秋穎被告(30)の裁判員裁判。18日から前橋地裁(水上周裁判長)で開かれた公判で、被告が次第に孤立を深め、仲間に手をかけてしまうまでの過程が明らかにされた。

 被告は中国東北部吉林省の農村部出身。北京へ出稼ぎに出たこともあるといい、たどり着いたのが日本だった。被告と被害者は中国で開かれた研修で知り合い、他の仲間と伊勢崎市内の物流会社へ。昨年9月末から共同生活を始めた。

 同居する被告と他の2人が反目し始めたのは、それから間もなくだった。被告が、職場で自分の悪口を言っている李さんの姿を目にして以来、些細(ささい)なことで言い争うようになった。

 検察の調べに、同居していた女性は「ケンカを売ってくるのはいつも劉被告」と供述。一方、被告は「(2人から)教養のない人、30年生きてきた意味がないなどと言われ、ひたすら謝っていた」と話した。

 事件当日の朝、被告が洗面台でたんを吐いた。2人は「掃除したばかりなのに」と大声で責め立てた。言い争う声を聞いた別の部屋の同僚らが様子を見に来ていったん収まったが、しばらくして被告がもう一度たんを吐くと、李さんが言った。「何吐いてんだ、死ね」

 被告は台所で包丁を手に取り…

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