小舟で海渡るサバニレース 海の文化、スポーツで継承

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松本行弘
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 沖縄の伝統的な小舟で海を渡る「サバニ帆漕レース」が6月30日、慶良間諸島座間味島から沖縄本島那覇市沖まで約35キロのコースで開かれた。近代化の波にのまれて消えつつあった海の文化を、スポーツの形で継承しようと始まり、今回で節目の20回目を迎えた。

 サバニは、沖縄でかつて海上の移動手段として日常的に使われていた木製の舟。帆と櫂(かい)で漕(こ)いで進む。だから大会名は「帆走」でなく「帆漕」。底に分厚い木材を使い重心が低いので、サンゴ礁の多い海でも航行しやすく、砂浜から出航でき、転覆しても復元しやすいなどの特長がある。

 近代的な動力付きボートの普及で使われなくなったが、2000年の沖縄サミットを控え、日本の海の文化をアピールして残すきっかけに、とレースが企画された。企業の協賛も得られ、那覇市や座間味村などで実行委員会がつくられ、同年6月に16チームがエントリーして最初のレースが行われた。

 「エイトマン」で参加した大城清さんは、沖縄県糸満市の船大工だ。サバニ造りの名人だった父を継いだ。FRP(繊維強化プラスチック)製の船の修理や改造が主な仕事だったが、レースに向けた新艇の発注が舞い込むようになった。69歳。「この年になってサバニが復活してきて、幸せもんかもしれん」と普及活動にも力を入れる。

 釘など金属を使わずに木を接合するといった造船技術は、文献がほとんど残っていないという。大城さんは10年前から「弟子」に技術を教えている。46歳の高良和昭さん。カヌー・スプリントの国内トップクラスだった元選手で、母校の沖縄水産高のチームでサバニレースに出場したことが、船大工をめざすきっかけとなった。

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■地元中学生や東京の大学生も…

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