徴用工問題の深刻さ 「解決済み」がちゃぶ台返しなぜ?

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鈴木拓也
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 「日韓関係が悪化」――。そんなニュースをよく目にします。大きなきっかけは昨秋、韓国の大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決でした。「解決済み」との日本政府の立場に、韓国国内で反発が起きる構図は慰安婦問題と同じですが、今後の日韓関係にとって、より深刻な事態との指摘もあります。どういうことなのでしょうか。

 まずは「元徴用工」とはどのような人たちなのか、おさらいします。

 戦時中に労働力不足を埋めるため、朝鮮半島から日本の工場や炭鉱などに労働力として動員された人たちです。募集に応じた人もいれば、国民徴用令の適用により徴用された人たちもいました。当時の公文書や証言から、ときに威嚇や物理的な暴力を伴ったことがわかっています。韓国政府が認定した元徴用工は約22万6千人います(故人を含む)。

 戦後、日韓は1965年に国交を正常化させました。この際に、日韓請求権協定も結ばれました。日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与し、両国とそれぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記しました。

 この協定により、日本政府は元徴用工への補償問題は元慰安婦への補償問題とともに解決済みとの立場です。ただ、元徴用工の問題が慰安婦問題と違うのは、韓国政府がこの協定に慰安婦問題は含まれないとの立場である一方、元徴用工への補償については2005年に、協定が定めた経済協力金に補償問題解決の資金も含まれるとの見解を発表している点です。

 ところが、韓国大法院で昨年…

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