前のめり、首相に危うさ トランプ氏も落ちた北朝鮮の穴

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編集委員・牧野愛博
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記者解説 編集委員・牧野愛博

・「前提条件なき首脳会談」、実務協議の進展なければ、政治ショーの危険

・制裁の枠組みめぐる国際理解が必要、北朝鮮には日本の拉致問題対応に不信感も

・放置される北朝鮮の核・弾道ミサイル開発。対話と同時に有事に備えた議論も必要

 安倍晋三首相は5月、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談の実現を前提条件をつけずにめざす方針を表明した。日本人拉致問題を主とした日朝の公式な交渉は、北朝鮮が2015年のストックホルム合意で拉致被害者らの再調査を約束したものの、16年以降は途絶えている。

 首相の表明の核心は「前提条件なし」という部分だ。これまで政府は、首脳会談での成果を重視してきた。政府は国会答弁などでこの表明について「金正恩氏と直接向き合うとする首相の意思を、より明確にしたもの」と説明する。一方で、米韓などには「実務者協議での合意を首脳会談の前提条件にしないという意味」「場合によっては実務者協議がなくても構わない」と説明。「正恩氏の外交はトップダウン方式。過去2度の日朝首脳会談当時とは状況が違う」と訴えている。

 だが、実務者協議を重視しない北朝鮮との首脳会談には大きな落とし穴がある。ハノイであった2月の米朝首脳会談は、その実例だ。

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 米朝関係筋によると、米国は…

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