地方独立行政法人・青森県産業技術センターが開発したサクランボの新品種「ジュノハート」が、6月末に県内市場でデビューを果たす。市場への流通を見据え、県は高品質の果実を栽培する生産者だけが使えるロゴマークを発表。特に高品質な果実については「青森ハートビート」のブランド名で販売し、高級果実としての定着をめざす。

 ジュノハートは、同センターりんご研究所の県南果樹部(五戸町)が開発し、2013年に品種登録された。甘みが強い品種「紅秀峰」と果実が大きい「サミット」を交配し、国産品種最大級の大玉と強い甘み、ハート形の美しい外観が特長だ。

 ローマ神話の女神ジュノーと果実の形からジュノハートと命名された。県は贈答用の高級果実としてブランド化を進め、来年夏からの全国デビューをめざしている。

 ロゴマークは鮮やかなピンク色のハートが並んだデザイン。「あなたと私の二つのハートがよりそうイメージ」を表現した。漢字名が多い国内の他品種と差別化を図るため、名称を英字で表記したという。

 ジュノハートの糖度は約20度で、直径28ミリ以上の品質基準があるが、直径31ミリ以上と特に大きく、色づきがよい特級品のブランド名を「青森ハートビート」と名づけた。ハート形の果実を見たときと食べたときの胸の高鳴りを表現したといい、ジュノハート全体の2割しか収穫できない希少性を前面に出し、2個入りの特別パッケージで出荷する。

 南部町やつがる市を中心に栽培されるジュノハートの木が実をつけるようになるには時間がかかるため、今年はまず県内向けに180キロの出荷を見込む。順調なら6月下旬から収穫が始まり、ハートビートは1300粒ほどを販売できるという。全国販売を始める来年はジュノハート750キロ、ハートビート2万粒に生産が増える見通しだ。三村申吾知事は「青森が桜桃産地としても大変な実力があると示したい」と期待を込める。(林義則)