日本髪文化伝える「かつら」深すぎる世界 五感研ぎ澄し

有料記事京都花街マガジン

佐藤慈子 佐藤秀男
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 舞妓(まいこ)が行き交う京都・祇園町。地毛で日本髪を結った女性が何の違和感もなく暮らす町は、全国でも京都の花街ぐらいだろう。祇園の一角に店を構える「八木源(やぎげん)かづら」は、江戸期に花開いた日本髪の文化を「かつら」によって、今に伝えている。

 古い京町家の2階の作業場。朝10時、社長の八木貴史(やぎたかし)さん(63)が、かつらを載せる作業台「結坊主(ゆいぼうず)」の正面に座ると、早速手を動かし始めた。

 使い込まれたつげのくしに、びんづけ油をつけて髪をとかすと、みるみるうちに髪1本1本が輝いた。手を少しひねると、一瞬にして髪が美しい曲線を描く。熱したコテを当てたり、和紙でできたひも「元結(もっとい)」で縛ったりして、1時間ほどで結い上げた。ひとつ完成した後も、すぐにまた別のかつらに取りかかり、手が休まる暇がない。

 「触ってみる?」と、八木さんが両手を差し出した。つやつやで、女性の手のように見える。

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 「昔はマメだらけの硬い手や…

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