残留孤児の妻、夫亡き後… 日本で困窮、制度の谷間に

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筋野健太
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 中国残留孤児とともに来日後、孤児に先立たれ、苦しい生活を送る配偶者たちがいる。国の支援制度はあるが、制度の谷間に落ちる形で要件を満たせない配偶者は、異国で厳しい余生を余儀なくされている。

 堺市北区府営住宅に住む佐藤芳子(王淑芳)さん(72)は残留孤児の夫、佐藤敏雄さんや子どもたちと1987年に来日した。しかし、5年後に敏雄さんは心臓病で亡くなった。52歳だった。芳子さんはまだ日本の生活に慣れていなかったが、中国の父母が亡くなっていたので、子どもたちと残ることにした。

 佐藤さんは長男にも先立たれ、現在脳の障害で右手にまひがある次男の巌さん(50)と2人で暮らす。収入は生活保護だけ。買い物は節約のため、スーパーを何軒も回り、夜に売れ残った割引商品を買いに行く。食事は白米と野菜炒めだけの日々が続く。

 2DKの府営住宅の自宅のテーブルや戸棚は、ゴミ置き場から拾い、ペンキを塗って使っている。服の多くは、100円程度で買ってきたものを仕立て直した。

 生活保護を受給しているため、中国に帰国するには冠婚葬祭など特別な理由が必要だ。佐藤さんが最後に帰国したのは、中国にいる弟が腎臓がんを患って入院した5年前。「もし中国への渡航費用がためられたとしても、気軽な理由で会いに行くことはできない」と話す。

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 中国へ永住帰国する選択肢も…

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