お気楽に見えて、深く問いかける 「3番線のカンパネルラ」(京山あつき)

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松尾慈子
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漫画偏愛主義

 突然彼氏にフラれて失意のどん底にあった加納。寂しさで死にそうな時に駅で立っていたら、自殺するつもりかと誤解した高校生に助けられる。加納は、明るくて快活なその高校生を「カンパネルラ」と心で呼んで、時々電車に乗り合わせる彼との交流で活力を少しだけ取り戻す。その一方で、加納の職場である洋装店の店長に「君は服も小物もよく映える」といわれただけで心がヨロめいてしまう。さびしがり社会人男子のラブ物語だ。あ、言い忘れましたがボーイズラブです。

 タイトルからお察しの通り、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と重ねる場面がたびたび登場する。「銀河鉄道」のカンパネルラが人を助けたのになぞらえて、加納からカンパネルラと呼ばれている高校生は、加納の落ち込むタイミングを見計らったかのように電車に乗り合わせ、静かに加納を救ってくれる。

 一方、ノンケの店長は、楽し…

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