東電賠償金ビジネス事件 総額8億円を詐取した手口とは

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小手川太朗
【動画】逮捕前、取材に応じる黒田裕子容疑者=小手川太朗撮影
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 原発事故による賠償金を東京電力からだまし取ったとして、男女5人が逮捕される事件があり、これまでに立件された詐取額は8億4200万円に上る。このグループは金に困った会社を見つけて賠償金の請求を持ちかけ、手数料を受け取る「賠償金ビジネス」を繰り広げており、福島県警は少なくとも30社が不正請求した疑いがあるとみて調べている。

 「知り合いに原発事故の損害を分析して東電に申請できる公認会計士がいる」

 原発事故から1年余り過ぎた2012年4月、福島県内で運輸事業を手掛けていた男性は、面識があった旅館の元女将(おかみ)、黒田裕子容疑者(60)=今月5日に詐欺容疑で逮捕=から声を掛けられた。

 09~11年度の決算書の写しを手渡すと、10月初旬、黒田容疑者から「賠償金が出る決定を受けた。金額は約5千万円」と連絡があり、間もなく東電から約5千万円が振り込まれた。黒田容疑者はその日のうちに会社を訪れ、男性が手数料として約1500万円を手渡すと、紙袋に入れて帰って行った。その後も黒田容疑者を通じて3回にわたり、賠償金を請求。子会社も含め、計1億8千万円を受け取った。支払った手数料は計5400万円に上ったという。

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