iPS使いネズミ体内で人間の膵臓 東大チーム研究へ
ヒトのiPS細胞を使い、ネズミの体内で人間の膵臓(すいぞう)を作る研究を、東京大医科学研究所の中内啓光特任教授らが年内にも始める。正常に臓器が形作られることが確認できれば、将来はブタのような大型動物を使い、現在不足している人間の移植用臓器を作れる可能性がある。
人間の臓器を動物の体内で作る試みは国内初。これまでは禁止されていたが、国が指針を3月に改正した。中内さんらは学内の倫理委員会に申請しており、承認後、国に計画を申請する。8日、東京都内で開かれたシンポジウムで意向を示した。
計画では、遺伝子を操作して、あらかじめ膵臓をできなくしたラットやマウスの受精卵に、ヒトのiPS細胞を入れて「動物性集合胚(はい)」を作り、メスの子宮に移植。赤ちゃんの体内の膵臓ができる部位で、ヒトiPS細胞由来の膵臓を育てる。こうした方法は「異種胚盤胞(はいばんほう)補完法」と呼ばれる。
今回は、赤ちゃんが生まれるまでは育てず、途中の段階で取り出して膵臓がきちんとできているかや、ほかの部分に人間の細胞が交ざっていないかなどを確かめる。中内さんらと共同で研究してきた明治大では、ブタを使って同様の計画を別途予定している。
動物の受精卵に人間の細胞を…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
- 戸田政考(とだ・まさとし)朝日新聞記者
- 科学医療部記者。再生医療やゲノム編集などの基礎医学に面白さを感じ、現在は医療全般を取材。気候変動問題もライフワーク。フットサル年50回が目標。テンションとコレステロールは高め。