ロスジェネ議員、落選後の挑戦 「選挙活動がむなしく」

有料記事

多田敏男
[PR]

ロスジェネはいま

 ロストジェネレーションは、社会に出るとき就職氷河期という運の悪さが、その後もずっとつきまとう世代だ。多くの人が荒波のなか、失敗や挫折を経験してきた。それでもあきらめずに挑戦し続ける人たちがいる。これから紹介する政治に関わった2人も、そんなロスジェネの一員だ。

 「若くて面白い岩手県議がいる」。そんな情報をもとに記者は2007年、当時32歳だった高橋博之さんに会うため岩手県花巻市を訪れた。

 その年の統一地方選では、当時25~35歳のロスジェネ候補が多数当選した。高橋さんは水源保全条例を独自に作ろうとするなど、若手政治家として全国的に注目されていた。もともとは政治家志望ではなかったという。地元の高校から東京の大学に進み、たまたま大学の先輩である国会議員の活動を手伝ったことで、政治の世界に足を踏み入れた。

 「私たちの世代は就職できずに大変な思いをしている人がたくさんいる。せっかく議員になれた自分ができることなら、何でもやりたい」

 あれから12年。今春、44歳になった高橋さんと再び会った。今度は東京都内のビルの一室。政治家は引退し、「ポケットマルシェ(ポケマル)」という食材のネット通販会社を経営しているという。

 「ポケットマルシェはユーザーが約3万人いて、食材の生産者と消費者を直接結んでいます。会社を立ち上げるときに資金集めは苦労しましたが、自分は選挙も地盤、看板、カバン(お金)がないなかで戦ってきました。会社経営も政治と同じで、多くの人に支えられています」

 経営について語る口調は政治を熱く語った当時と変わらない。情熱を燃やしていた政治の世界から身を引くきっかけは、東日本大震災だったという。

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

 11年3月11日、県議2期…

この記事は有料記事です。残り3256文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら