調査結果全体の信頼性を揺るがすデータの誤りは、なぜ起きたのか。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の秋田市への配備をめぐり、防衛省の報告書に誤りがあった問題。報告書作成時に初歩的な間違いを犯した可能性が浮かんできた。

 データの誤りは、5月に防衛省が県と秋田市に提出した報告書に複数あった。陸上自衛隊新屋演習場の代替地として検討された青森、秋田、山形3県の国有地19カ所で、9カ所について、国有地から周囲の山を見上げた角度である「仰角」を過大に記載していた。

 実際より大きな仰角を理由に配備地として不適の評価を下していた。5日に来県した防衛省幹部は、県議や市議を前に、「初歩的なミス」「地図の縮尺が不整合だった」などと説明したものの、具体的な原因については「詳細は確認していない」と言及をさけた。

 報告書には、国有地から周囲の山までの断面図が掲載されている。この断面図に分度器をあてると、報告書で表示された「角度」に合致する。ただ、断面図は縦と横の縮尺が同じではなく、縦方向を強調するように作られていた。

 朝日新聞が調べたところ、この断面図は、グーグルが提供する無料の「グーグルアースプロ」(デジタル地球儀)で作成した断面図と酷似していた。

 一般財団法人日本地図センター相談役の田代博さん(69)は「グーグルアースプロの断面図作成機能を用いて作成したと判断できる」と述べる。別の専門家も「フォントや断面図の色使いから、グーグルアースプロを使って描いたと考えられる」と話した。

 報告書の断面図は垂直方向に約4倍拡大され、垂直方向と水平方向の縮尺は一致していない。

 田代さんは「一般的に、断面図は地形の起伏をわかりやすく表示するため、垂直方向を数倍拡大して作成する」と説明する。そのうえで「実際の地形とは違うので、その断面図上で仰角を測る作業は絶対に行ってはならない」と指摘した。

 断面図を作成するソフトの中に…

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