恩恵なくてもトランプ好き 米農家が抱える「破壊衝動」

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アメリカ総局・青山直篤
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経世彩民 青山直篤の目

 走れども走れども大地。米国の巨大穀倉地帯「ファームベルト」には時折、砂漠のオアシスのように小さな街が現れる。その一つ、米アイオワ州ペリーで3月末、エリザベス・ウォーレン上院議員が熱弁を振るっていた。

 2020年の米大統領選に向けた民主党の注目候補に対し、最後に聴衆が問いかけた。

 「選挙で勝てるかが全てだ。トランプにどうやって勝つんだ?」

 私も聞きたかったことだった。米国の農業は世界の「勝ち組」で、トランプ大統領の保護主義的な政策で利益を受けないばかりか、中国の報復関税でむしろ打撃を受けてきた。それでも多くの農家はトランプ氏が好きだ。私にはなかなか解けない「矛盾」だった。

 ウォーレン氏は、抑圧や差別に負けずに挑戦を続けた人々が米国の歴史をつくったと強調し、「草の根の運動を巻き起こせば私が米国初の女性の大統領になれる」と語った。

米農家が抱く「破壊衝動」とは

経済という言葉の語源「経世済民」には「世をおさめ、民をすくう」という意味があります。原則、毎週火曜朝に配信するコラム「経世彩民」では、記者が日々の取材を経て思うこと、伝えたいことを色とりどりの視点でつづっていきます。

 やはり、農家の多くはトランプ氏を選ぶのではないか――。政敵や外国をののしり、聴衆を熱狂に巻き込んでいくトランプ氏の演説を見てきた私にはそう思えた。

 農業地帯でのトランプ人気の…

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