父親のモヤモヤ 記者の告白
記者(44)は長女(2)が生まれたとき、6カ月の育児休業をとりました。でも、育休経験をその後の育児に生かせているのだろうか、とモヤモヤを抱えています。そんな記者の告白を、専門家はどう見るのでしょうか。
妻(43)の妊娠が判明してすぐ、育休をとると決めた。家族はチームだ。誕生の瞬間から、経験を共有することが大切だと考えた。
2017年1月に長女が生まれた。平日の昼間に長女を連れて児童館へ行くと、赤ちゃん連れの母親から声をかけられ、育休中と話すとほめられた。
チヤホヤされて正直、悪い気はしない。だが、違和感も生まれた。母親ならばほめられない。父親って、育児の脇役なのか?
育休中は三度の食事は私が担当し、妻には育児に専念してもらうことを心がけた。首がすわり、寝返りをうつ。日々変化していく長女の姿をみるのは楽しかった。
7月、職場に復帰。不在の間にカバーしてくれていた同僚への申し訳なさがあった。記事の締め切りが近づくと、ずるずると時間を費やしていく、長年染みついた仕事のやり方に簡単に戻った。
違う会社に勤める妻の育休が続いていたこともあり、育児や家事を任せるようになった。妻は翌年4月の職場復帰をめざし「保活」にも取り組み、平日は長女を連れて保育園見学を続けた。妻に当時の気持ちを尋ねると、「一緒に育休をとっていた時期は何でも相談しながらやってきたこともあり、不安だった」と振り返った。
私は復職の際、「転勤は可能」と伝えていた。18年2月に大阪へ転勤が決まり、同じころ保育園の内定通知が届いた。4月、妻が仕事を再開し、私は単身赴任した。
月2回は週末を利用して帰ったが、長女は知らない間にすべり台の階段を1人でのぼれるようになり、知らない歌を歌えるようになっていた。その姿に言葉にならない衝撃を受け、あるとき「取り返しのつかない時間を失っている」と思った。そして妻は「ワンオペ」状態で疲れをためていた。
優先順位を決めなければいけない。そんな思いにとらわれていた9月、私は椎間板(ついかんばん)ヘルニアになり、入院。その治療が想定以上に長引いたこともあり、単身赴任は1年で終わった。
この4月から、夕食はなるべく家族一緒にとり、保育園の送りだけでなく迎えも交代でする生活になった。以前より家庭の優先度は上がった。
振り返ると、当時は精いっぱいやっているつもりだったが、優先順位をつけることをどこかで避けていたのではないか。そんな自分にモヤモヤしている。(武田耕太)
父親のメンタルヘルスを研究する竹原健二・国立成育医療研究センター室長に聞く
男性の育休で期待されている…
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