「まつげって硬いのね」演技教えた 樹木希林が贈る映画

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文・石飛徳樹 写真・篠田英美
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映画「エリカ38」に主演 浅田美代子

 昨年9月に他界した樹木希林さんが企画した映画「エリカ38」が7日から公開されている。主演は浅田美代子さんだ。

 実は樹木さんは生前、「キャスティングプロデューサーをやりたい」と語っていた。「この役者はそこじゃなくて、あっちに置いたら光るわねとか、考えるのが好きなの」

 作品を見て、得心が行った。色仕掛けで詐取した金を、若い男に貢いでいた女。現実の事件がモチーフだ。ああ、こういうことがやりたかったのか。

 2人は1970年代、TBSの水曜劇場「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」で共演して以来、半世紀近くの付き合いだった。つまり樹木さんは、浅田さんのことを知り尽くしていた。

 「事件が話題になった時、希林さんに『美代ちゃんはこういう役をやったらいいのよ』と言われました。私って、フワーッとしたイメージでしょ? だから『そんな役、来ないわよ』と答えたんです」

 しばらく経って、樹木さんはプロデューサーや監督、スタッフを決めてきた。「そして『あんた、頑張りなさい』と。びっくりしました。こんなことしてくれる人、います? 涙が出ました」

 浅田さん演じる聡子は、途上国支援という名目で大金を集める詐欺団の片棒を担ぐことになる。ある時、詐欺団の裏切りを知った聡子は、金を持ってタイに渡る。エリカと名乗り、年齢を20歳以上偽って、1人の美青年にその金をつぎ込み始める。

 聡子の巧みな話術には、観客も思わず引き込まれる。樹木さんは、動物愛護で熱弁を振るう時の浅田さんが、普段の「美代ちゃん」とは全く異なることに気づいていた。

 樹木さんは「あの感じで話せ…

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