心をえぐる部活体罰の傷 殴られ流血「教諭が今も夢に」

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坂東慎一郎 吉田博行 長富由希子
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 強豪として知られる兵庫県尼崎市立尼崎高校の男子バレーボール部で、部員がコーチにたたかれて一時意識を失い、鼓膜裂傷のけがをする体罰が先月、発覚した。指導者が子どもに手をあげるこうした事態が繰り返されないようにするためにはどうすればよいのか。読者の困りごとや疑問を取材する朝日新聞「#ニュース4U」が探った。

体罰に耐えた「成功体験」否定に葛藤

 ある東北地方の20代の男性は中学時代、強豪校の男子バスケットボール部に所属。顧問の指示通りにプレーができないと、「気持ちが入っていない」「最後までボールを追っていない」などとコートの横で腹を殴られ、顔を平手打ちされたという。暴力は1年で10回ほどで出場機会の多い部員はより頻繁。「絶対的な存在」の顧問に部員らは「びくびくしていた」が、当時は「体罰は結果を残すため」と思っていた。男性の代では県大会で上位入賞。「部活の成績が加味されて高校に推薦入学できた。自分にとって成功体験」だった。

 しかし2012年、大阪市立桜宮高校バスケットボール部の主将の男子生徒(当時17)が顧問の暴力がもとで自殺。自身の経験と重なり、教員を目指して進学した大学で運動部活動を研究し、体罰の論文を読み込んだ。「体罰はよくない」と頭で理解しても、厳しく指導する場面では仕方ないとの思いがあった。「厳しい指導を受けた経験があったからこそ今がある。自分の過去は否定しづらかった」と葛藤を明かす。だが、体罰で「人が亡くなった」事実は重く、次第に「体罰に頼る指導はすべきではない」と考えが変わった。男性は小学校の教員になった。「恐怖を与えて言うことを聞かせる体罰は一瞬は効き目があるかもしれない。でも長い目では将来につながらず、指導とは言えないと思う」

成人してからもトラウマに苦しむ

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 兵庫県の公立高校男子バレー…

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