大失敗だった 天安門の学生たち、30年の後悔と怒り

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 1989年、中国の民主化を求めた学生や市民に軍が銃口を向けて弾圧した天安門事件から30年が過ぎた。民主化運動の挫折と惨劇を目の当たりにした人々は、この間、事件とどう向き合ってきたのか。思いを聞いた。

呉国光さん(61)

 〈共産党機関紙・人民日報の論説委員、党中央政治体制改革研究室研究員などを歴任。天安門事件で失脚した趙紫陽(チャオツーヤン)・元共産党総書記の政治改革チームの一員だった。カナダ・ビクトリア大教授〉

 この30年間、中国の民主化運動は失敗したと言える。原因は様々だが、民主活動家や民主化運動の戦略と大いに関係している。民主活動家は、中国の民主化を求めるというスローガンを今も言い続けているだけ。民主化運動の理論は一歩も進歩していない。これでは資金力も宣伝力も備えている共産党に歯が立つわけがない。

 中国から出国した民主活動家らは外国の慣れない環境下に置かれるうちに自説に固執してしまい、中国の民主化運動とは何かを見失ってしまった。他人の意見に耳を貸し、理論に深みを持たせることを怠った。

 とりわけ問題なのが、民主活動家から中国の若い世代への働きかけが不十分だった点だ。天安門事件を知らない若者に民主化に対する関心を持ってもらうのはもともと難しいが、天安門事件は「過去の事件」ではない。自由が制限されている中国の現在の生活とつながっている。そう若者に理解してもらう努力が大事だ。

 人民日報時代の記者仲間らは事件当時、学生を支援し、言論の自由を訴えた。だが、彼らの多くは今、当時の自分の行為は間違いで、武力弾圧は当然だと正当化している。民族主義や経済発展をアピールする共産党の宣伝工作に従事するうちに、考え方が変わってしまった。大きな悲劇だ。(聞き手・益満雄一郎)

周舵さん(72)

 〈学生らを支援するため、故・劉暁波氏らと4人で軍の鎮圧が始まる直前の89年6月2日からハンガーストライキを始め、後に「天安門広場四君子」と呼ばれた一人〉

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 天安門での民主化運動は大失…

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