ハイヒール強制やめて 「#KuToo運動」世界が共感

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植松佳香
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 かかとの高いパンプスやハイヒールを女性が職場で強制されるのはおかしい――。そう考えた1人の女性のつぶやきが、議論を巻き起こしています。共感するのは、何も日本人だけではなさそうです。

「パンプスで足がもうだめ」 いいね6.7万件

 発端は今年1月、俳優の石川優実さん(32)のツイートでした。

〈いつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたい〉〈パンプスで足がもうダメ〉〈なんで足怪我(けが)しながら仕事しなきゃいけないんだろう〉

 「いいね」の数は約6万7千件に上り、約3万回リツイートされました。

 芸能活動をしながら、葬儀場でアルバイトをしている石川さん。アルバイト先では、業務をする際の身だしなみについて書かれた紙が配られ、ヒールの高さが5cm~7cmほどの黒のパンプスを履くよう求められたと言います。立ち仕事で動き回ることが多く、ヒールの高い靴だと動きにくく、足が痛んだり、足音に気を使ったり。「ハイヒールと男性が履くような革靴では足への負担が全然違う。マナーと言われるけど、平等じゃないと思いました」。

 共感した人たちの間でツイートが広がると、性被害やセクハラを告発する「#MeToo」運動と「靴(くつ)」、「苦痛(くつう)」を掛け合わせた「#KuToo」というハッシュタグが登場。同様の理不尽さを感じる人たちの声があふれました。

 その声に押されるように2月、インターネット上で署名活動を開始。今月3日に厚労省に約1万8800人分の署名を届け、ハイヒールの強制を禁止するよう通達を出してほしいと訴えました。

健康問題ではなく性差別 動いた英議会

 石川さんは2017年末、「#MeToo」運動に合わせ、性暴力の被害を訴えた経験があります。芸能活動をする中で、男女平等を何とかしなければと感じたといい、そこからジェンダーや性差別のことを勉強したといいます。

 ただ、ハイヒールのことをつぶやいた当初は、これが性差別の問題だという意識はなかったそう。「痛いし、革靴はいいよなという単純な愚痴でした。普段から違和感を感じたことはつぶやくようにしていて、その一環で」。けれど、海外の事例を調べたとき、ハイヒールの強制が明確に性差別と表現されていることを知り、問題意識がつながったそうです。

 実は4年前、イギリスで同じような動きがあり、注目を集めました。

 BBCなどによると、2015年12月、ロンドンの大手企業の受付係として派遣された女性が、フラットシューズで出社すると、高さが5~10cmのハイヒールを履くよう指示され、買ってくるようにとまで言われました。1日中ヒールの高い靴では働けないし、男性にはそんな指示がないとしてそれを拒むと、日給なしで帰宅を命じられました。

 この内容をフェイスブックに投稿すると、同じような経験をした女性たちがいることが判明。女性はハイヒールを強制されないよう法改正を求めるオンライン請願を始め、15万人以上が署名しました。

 イギリスの下院議会はこれを受け、現状を調査。そもそもイギリスでは性差別は違法とされているものの、ハイヒールの強制など差別的な服装規定が残る職場があるとして、法の見直しなどが必要という報告書をまとめ、2017年1月に発表しました。

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 また、カナダの一部の州では…

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