ついに利下げまで示唆した米FRB 遠のく政策正常化

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シカゴ=青山直篤
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 米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が、政策金利を引き下げる「利下げ」を視野に入れ始めた。米国の景気は堅調で、昨年末までは利上げ路線を鮮明にしていたが、景気減速懸念から、今年1月に利上げを一時休止。さらにFRBのパウエル議長は今月4日の講演で、通商摩擦の動向次第では利下げも視野に入れることを示唆した。利上げによる金融政策の正常化はいっそう遠のいた形だ。市場は利下げを視野に入れ、株価は上昇している。

 FRBは4日、シカゴ連邦準備銀行で、2日間にわたる新たな政策検討の会議を開いた。パウエル議長は冒頭で通商紛争の激化に強い懸念を示し「成長を保つために適切な行動を取る」と指摘した。

 市場はFRBが利下げに転じる可能性が高いと受け止め、米CMEグループによると次回の6月18~19日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを織り込む確率は80%超に上っている。

 4日のニューヨーク株式市場は、FRBの利下げへの期待感から、大企業でつくるダウ工業株平均が大幅に続伸し、終値は前日比512・40ドル(2・06%)高い2万5332・18ドルだった。

 FRBはリーマン・ショック後の金融緩和からの「正常化」に向け、2015年末に利上げを始め、17年10月からは保有資産の縮小を開始。18年末の時点では19年中にも2回の利上げを見込んでいたが、19年に入ると年内の利上げを見送る方針に転じ、資産縮小も19年9月末で終える方針を決めた。「正常化」は中途半端に終わることになる。

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