「輝かしい過去の再現、もうない」 低成長の先の哲学

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聞き手・江渕崇
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 人工知能(AI)に自動運転、5G。世はイノベーションの話題で満ちているのに、いま一つ経済に元気がない。「長期停滞論」の火付け役の一人、米国の経済学者ロバート・ゴードンさんは「もはや輝かしい過去の再現はあり得ない」という。私たちはもう「低成長」という長いトンネルから抜け出すことはできないのか。

偉大な発明、70年代に出尽くした

 ――米国経済の輝かしい成長は過ぎ去り、再現は期待できないと論じていますね。

 「私は1870年からの100年間を、『特別な世紀』と呼んでいます。電気やエンジンといった偉大な発明のおかげで、生活水準と生産性が劇的に上がりました。かつて大半の人々は農村に住み、男性は死ぬまで過酷な労働に耐え、女性は朝から晩まで家事に縛られていました。それが第2次産業革命の数十年で、都市での快適な暮らしへと移ったのです。これは人類史において一度限りの出来事で、匹敵する変化を再現することはもうできません」

 ――本当に?

 「エジソンが電灯を発明した…

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