携帯も行きつけの店もなし 川崎殺傷、難航する動機解明

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 川崎市多摩区の路上で、私立カリタス小学校の児童ら20人が殺傷された事件から4日で1週間。刃物で襲ったとされ、直後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)が事件の4日前に現場周辺を下見していたとみられることが新たにわかり、経緯は少しずつ明らかになっている。一方、容疑者の親族がカリタス小出身だったという情報はあるが、心境をつづったものなどが今のところ見当たらず、動機の解明は難航している。

 神奈川県警は、岩崎容疑者に計画性と強い殺意があったとみて、捜査を続けている。

 事件から約3カ月さかのぼる今年2月、岩崎容疑者は東京都町田市の量販店で、凶器の柳刃包丁2本を購入したとみられている。さらに事件4日前の5月24日朝、似た人物が現場周辺の複数の防犯カメラに映っていたことも判明。事件当日は、自宅最寄りの駅から現場に直行したことが確認されている。

 事件当時の状況もつまびらかになってきた。凶器とは別の刃物2本が入ったリュックを近くのコンビニエンスストアの駐車場に置いた後、亡くなった保護者の小山(おやま)智史さん(39)と小学6年生の栗林華子さん(11)を襲い、続いて重傷の女性(45)、多数の子どもたちに切りつけたとみられている。

 一方で、岩崎容疑者が事件直後に自らの首を正面から2カ所刺し、自殺したことから動機の解明は困難を極めている。

 岩崎容疑者は川崎市麻生区で高齢の伯父夫婦と同居していた。伯父夫婦ら親族から相談を受けていた川崎市などによると、岩崎容疑者は長期間就労しておらず、家の中での会話はほとんどなく、最後に会話をしたのは今年1月だった。会見した市の坂元昇医務監は、こうした状態が10年単位で続いていたとみる。

 市は岩崎容疑者との関係も含め、親族に計14回助言した。ただ、岩崎容疑者が他人に危害を加える兆候がみられず、夫婦からしばらく様子をみていきたいと伝えられたため、容疑者本人に直接接触することはなかったという。

 岩崎容疑者の自宅からは、事件の動機につながるメモや記録が残された電子機器は見つからなかった。捜査関係者は「今どきパソコンも携帯電話も持っていない。行きつけの店もない」と動機を解き明かす難しさを口にした上で、「容疑者が死亡しているので、裁判にならない。だが真相に近づくことで、再発防止につなげたい」と話す。殺人などの疑いで捜査を続けており、容疑が固まり次第、容疑者死亡のまま書類送検する。

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