天安門事件「後悔ない、満足」 元学生リーダーが講演

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 中国の学生や市民による民主化運動が武力で弾圧された天安門事件から4日で30年となるのに合わせ、明治大学現代中国研究所は1日、当時の学生リーダーや著名な中国研究者を招いてシンポジウムを都内で開いた。

 米コロンビア大のアンドリュー・ネイサン教授は香港で出版した本に収録した、事件直後の共産党政治局拡大会議で党長老らが語ったという未公開の発言の一部を紹介した。

 教授によると、楊尚昆国家主席(当時)は、総書記でありながら学生らの訴えに理解を示したとして失脚した趙紫陽氏について「党の『核心』になれず、集団指導体制に反していた」と批判した。

 教授は「中国の指導者は独裁的でなければ長老や政敵との板挟みになる。習近平(シーチンピン)国家主席はこの教訓に学び、党の『核心』として徹底的に権力を握る政治を実践している」と述べた。

 シンポジウムでは、元学生リーダーの王丹氏(50)も講演した。「(学生らは)政府に対話を求めただけで、解決に実弾は必要なかった」と指摘し、党指導部が武力弾圧に踏み切ったのは「暴力による恐怖でしか統治できないからだ」と述べ、「党が政権を維持してきた理由は経済発展ではなく、恐怖だ」と批判した。

 王氏は事件後に逮捕され、反革命宣伝扇動罪で有罪判決を受けるなどして2度服役した。「私は後悔していない。中国人は自由と民主主義のためには犠牲もいとわないという勇気を世界に示せたことに満足している」と述べた。

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