災害時に「命救う放送」とは? 苦悩するアナ、技術磨く

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竹野内崇宏 原篤司
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 逃げ遅れによる犠牲者が相次いだ西日本豪雨や九州北部豪雨を教訓に、視聴者に素早い避難をしてもらうための工夫をアナウンサーが始めている。言葉遣いや声のトーンを学んだり、気象や避難情報への理解を深めたり。悲劇を繰り返さない放送をめざしている。

放送、前日も見てたのに

 2017年7月6日。FBS福岡放送福岡市)の松井礼明(ひろあき)さん(43)は、前日に福岡、大分両県を襲った九州北部豪雨をリポートするために現地入りした。

 福岡県朝倉市で被災した夫妻に話を聞くと「気付いたら水と土砂がどーんと来て、逃げられんやったとよ」。そして「昨日も(松井さんの)番組を見よったんだけどね」と言われた。番組を見てくれていたのに、避難はしてもらえなかった。

 前日の5日。雨が強まる時間帯に松井さんは同僚アナウンサーの若林麻衣子さん(39)と、福岡市のスタジオから生放送の報道番組に出ていた。「朝倉市に記録的短時間大雨情報が出ています。では次です」

 気象台や自治体が次々に出す情報を読み上げたが、若林さんは「ただ垂れ流すだけで、どんなことが現場で起きるかを理解できていなかった」。松井さんも「自分が伝えるべきことを、まったく伝えられていなかった」と悔やむ。

 2人はともに広島県出身。昨年の西日本豪雨ではふるさとが被災し、避難を強いられた友人もいた。

 視聴者を守るために自分たちにできることは――。同僚のアナウンサー11人と災害情報を研究し、放送にいかす取り組みを昨年8月から始めた。大雨、地震、原子力災害の3グループに分かれ、1~2カ月に1度、勉強会を開催している。

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 九州北部豪雨で福岡県に計1…

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