拡大する写真・図版 壇蜜さん=東京都港区赤坂、飯塚悟撮影

ロスジェネはいま

 グラビアやバラエティー番組の常連であり、今をときめくタレント、壇蜜さん(38)も、就職氷河期を経験したロストジェネレーションの一人だ。大学卒業時、自分が進むべき道がわからず、就活は惨敗したという。現在のあでやかなイメージとはかけ離れた職業を経験し、紆余(うよ)曲折の人生を歩んできた彼女は、同世代への共感を隠さない。彼女が伝授する、ロスジェネならではの「秘策」とは――。

 壇蜜さんが、東京都内の女子大を卒業したのは2003年春。まさに就職氷河期のただ中であり、ロストジェネレーションの名にふさわしい。グラビアタレントとしてデビューするまでの「空白の7年」を、ゆっくりと穏やかな口調で語ってくれた。

 「私は、氷河期で凍死しちゃった人です。『自分探し』っていう言葉がはやりだした時代で、ロストっていうより、ワンダーリング(さまよう)という方がしっくりきますね。前の世代まであったものが、私たちには与えられなかったっていう感覚で、とくに私はつかみそこねちゃったかなって」

 「小学校から大学までエスカレーター式で進学しました。でも、いざ大人になってみると、就職先を見つけて会社に行くイメージをまったく持てなかった。『とにかく就職したくない、でもしなきゃいけない、するにしてもどうすればいいかわからない』って。総合レジャーとか専門学校の事務職とか20~30社ぐらい面接を受けたけど、ことごとくダメでした」

 面接をいくら受けても内定がもらえない。この世代に共通の体験を、壇蜜さんも持っていた。体も心もぼろぼろになり、そして……。

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

 「周りは、出版がいいとか、航…

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