神奈川にクジラの死体が続々 あふれる危険、人間も原因

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江戸川夏樹 太田泉生 織井優佳
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 神奈川県の海岸で5月、相次いでザトウクジラの死体が打ち上げられた。「クジラやイルカが漂着している」という報告は全国で年300件ほどあるという。なぜ死に、打ち上げられるのか。

 5月21日夕、神奈川県鎌倉市の材木座海岸に頭と尾を失ったザトウクジラが打ち上がった。長さ7・7メートル。周囲には腐敗臭が立ちこめ、散歩中の犬がおびえたようにほえる。通報を受け、現地で調査した県藤沢土木事務所なぎさ港湾課によると、この日は波浪警報が出るほど波が高く、風も強かった。

 翌日には同県横須賀市の北下浦海岸でもザトウクジラの死体が打ち上げられた。いずれも砂浜に穴を掘り、埋められたという。

 国立科学博物館の田島木綿子(ゆうこ)研究主幹は横須賀市で漂着したザトウクジラについて、「今年生まれた子どもではないか」と話す。ザトウクジラは11月から5月ごろ、出産と子育てのために暖かい沖縄や小笠原諸島の近海に来遊する。子どもがある程度成長した春先から、エサを求めて親子でアリューシャン列島付近に向け北上を始める。4千キロもの道のりだ。太平洋側を北上することが多い。

 ただ、船に衝突したり、興味本位で定置網に近づいたり、シャチに襲われたり、その道中は危険にあふれている。「肺呼吸なので、水面にも上がらなければいけない。でも、赤ちゃんはうまく呼吸できず、海が荒れているときに死んでしまうこともある」。動脈硬化症や寄生虫感染などの疾病でもクジラは死んでいく。漂着したクジラの調査で死因がはっきりわかるのは、2割程度だという。

 東京海洋大学鯨類学研究室の…

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