森友巡る判決「すっきりせず」 真相解明なき勝訴に不満

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一色涼 吉村治彦
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 森友学園の国有地取引をめぐる問題で、大阪地裁は売却額を一時不開示とした国の決定を違法と判断した。しかし、原告の市議の表情は晴れなかった。大幅に値引きされた経緯の真相は明らかにならず、もどかしさを募らせた。

 松永栄治裁判長が判決を読み始めると、原告で大阪府豊中市議の木村真さん(54)は万歳のポーズをとった。しかし聞き進むにつれて、表情を曇らせた。その後、大阪市北区で記者会見し、「すっきりしない。予想していない判決だった」と話した。

 売却価格の不開示については木村さんの主張通り、違法と認められた。一方、売買後に地中からごみなどが見つかっても国の責任を免除する条項の不開示については「合理的な根拠がある」とされた。

 判決は、判断の前提として国有地に「相当量のごみがあった」と認定した。木村さんは、国が約1億3千万円をかけて地下3メートルまでの大きなごみを撤去したのに、「新たにごみが見つかった」として大幅値引きされた経緯に触れ、「(裁判長が)肝心なところを理解していない」と憤った。

 木村さんは大学卒業後、会社員などを経て、2007年の市議選で初当選。労働問題やひとり親家庭の生活支援に無所属で取り組んできた。「物言う市議」を自任する。

 国は15年5月、豊中市にあった国有地の貸し付け契約を森友学園と結んだ。その後、工事中に地中から「新たなごみ」が見つかったとして16年6月、鑑定価格から8億円あまりを差し引いた1億3400万円で森友学園に売却した。

 地元議員として国有地の使途に関心を持っていた木村さんは、15年の暮れ、現地の掲示板で小学校の建設計画を知った。名誉校長には安倍晋三首相の夫人、昭恵氏が就いていた。

 幼稚園の運営経験しかない学園に小学校が開校できるのか。近畿財務局に貸付料や売却価格を尋ねても返答を拒まれた。16年9月、売買契約について近畿財務局に情報公開請求したところ、「契約相手の利益を害する」などとして、価格などが黒塗りにされた。17年2月8日に提訴した。

 国はその2日後、報道や国会議員の追及を受け、森友学園側の了解を得たとして売却価格を明らかにした。裁判では半年後の8月になって開示に転じ、「訴えの利益が消滅した」として請求の却下を求めた。木村さんは訴えを損害賠償に切り替え、裁判を続けた。取引の真相を明らかにしたいとの思いがあった。

 売却交渉を担当した近畿財務局の管理職の証人尋問を申請したが、国が「体調不良で出廷できない」と反対して実現しなかった。

 木村さんは「森友問題は、誰もきちんと責任を取っていない」と指摘する。今回の判決に納得がいかず、控訴を検討しているという。(一色涼、吉村治彦)

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