組み体操、喝采沸く「カシオペア」 高さ求めず事故急減

有料記事学校の死角

木村健一
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 修学旅行や遠足、球技大会……と、学校には様々な行事がある。中でも運動会は事故の多さが際立つ。運動会でおなじみの種目について、日本スポーツ振興センター(JSC)の2014~16年度の学校事故データを産業技術総合研究所が練習なども含めて分析すると、リレー、組み体操、大縄跳び、騎馬戦、ムカデ競走の順に事故が多かった。

 組み体操は14、15年度は1万件前後と最多だったが、16年度はほぼ半減した。技としては、四つんばいに重なる「ピラミッド」や肩の上に立つ「タワー」は、ともに7割減った。

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 毎年、運動会で組み体操を採り入れている東京都江戸川区立上小岩第二小学校も、16年度から事故が減った。JSCの災害共済給付制度の対象となった事故は15年度は4件あったが、16~18年度は3年間で1件になった。

 同校は15年度までピラミッドは5段、タワーは3段で行っていたが、16年度からやめた。各地でピラミッドやタワーが大きくなり、重大事故が多発したことが14年ごろから社会問題化し、スポーツ庁は16年3月、安全な状態でなければ実施しないよう自治体に通知。江戸川区教育委員会は16年度は区内の小中学校でピラミッドとタワーを休止し、17年度から禁じた。

 安全を確保しながら、魅力的な組み体操はできるのか。同校は17年5月、日体大の三宅良輔教授を講師に招いた。高さを求めるのではなく、横に広がっても美しく見える。教諭らは、そうした考え方や安全な実施方法を学んだ。

 通常は5人で星座の形を表現する「カシオペア」。18年9月の運動会では、小学5、6年約100人がカシオペアを次々とつなげ、40メートルに及んだ。太ももの上に立つ「サボテン」は、2人1組から補助をつけて3人に。組み体操にダンスや行進を組み合わせた演技に、喝采が湧いた。指導した北川雄一教諭は「高さに期待する保護者や住民もいたが、工夫してやってみると、感動したという声も寄せられた」と振り返る。

 大きくなる一方だった組み体操に危機感を抱いてきた三宅教授は、研究室のホームページで安全な方法を伝え、各地で講習会を開いてきた。「組み体操は歯を食いしばってやるものではなく、子どもたちが笑顔で声を掛け合い、体を合わせて協力しあうもの。楽しく、達成感も得られる。練習時間も限られる中、子どもの能力に合わせて安全に配慮して実施すべきだ」と訴える。

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