死への誘導はあったのか 学会理事長が語る透析中止問題

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聞き手・水戸部六美
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 公立福生病院(東京都福生市)の透析治療をめぐる問題を調査した、日本透析医学会の関係者2人が朝日新聞のインタビューに答えた。浮かびあがった透析医療現場の課題とは――。

学会理事長の中元秀友・埼玉医科大教授

 ――学会としてなぜ調査に入ったのですか。

 我々は2014年に、透析の非導入や終了といった意思決定に関して提言を示しました。今回は報道を受けて、提言に沿った診療が行われているか確認するため、調査に入りました。福生病院から調査を依頼されたこともあります。我々は学術団体です。調査は病院を処罰するのが目的ではなく、より良い医療に向けて何をすればいいのかを明らかにするためのものです。

 ――調査に入ってわかったことは何ですか。

 調査結果は、患者の個人情報に触れる可能性があるため、具体的な内容を公表する予定はありません。ただし、患者の意思確認の書類や患者への説明の記録が一部不十分だったとする東京都の指導は正しいと考えています。

 ――都の調査で、福生病院で透析の非開始や中止を選んだ患者は20人以上に上ったといいます。学会はその全員について調査したのですか。

 守秘義務に触れない範囲で、病院から報告書を提出してもらい、全員分調査しました。報告書の範囲では、刑事罰にあたるようなものはなく、どの患者も納得の上で、透析の非導入や終了を選んでいたと考えています。しかし、一部、患者の同意書をとっていないケースがありました。都の指摘の通りで、我々もその点は今後、病院に改善してほしいと思っています。

透析中止した女性「終末期でなかった」

 ――最初に問題になった、透析を中止した女性(当時44)は終末期だったのでしょうか。

 終末期が数カ月で亡くなる状…

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