降旗監督が2月に語った新企画 頼まれた名コンビの相方

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聞き手・小峰健二

 降旗康男監督の代表作の一つ「駅 STATION」(1981年)で初めて撮影監督を務めた木村大作さん。これまで組んだ作品は16本で、名コンビと呼ばれた。降旗監督の死去が伝えられた26日、朝日新聞取材に応じ、盟友との思い出を語った。

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 降(ふる)さんとは16本やっているんだよ。高倉健さんも言っているように降さんは寡黙な監督。40年近い付き合いで怒鳴っているところを見たこともない。かたや俺は怒鳴っているので有名なカメラマン。だけどさ、初めての「駅 STATION」から馬が合ったんだ。性格は違うけど、進む映画の道は同じだと感じてくれたんだろうね。こいつには任せられると思ったのか、「駅 STATION」の後からは打ち合わせもなかったんだ。

 「駅 STATION」は、倉本聰さんがシナリオで舞台の一つに指定して書いた駅が絵にならないので、俺が銭函(ぜにばこ)駅を見つけてきた。すると倉本さんは「銭函という読み方が気に入らない」と言うので、けんかになった。俺は「映画なんだから絵になるかどうかが大事なんだ」と言って。降さんは黙っていたよ。特に何をするわけでもない。でも、それから何本もやるんだから、そんな俺の姿を見て、撮影監督として信頼できると買ってくれたんだな。

 悩みを唯一話せる人だったし、的確に答えてくれた。俺が撮った「劔岳(つるぎだけ) 点の記」(2009年)や「春を背負って」(14年)「散り椿(つばき)」(18年)は全部、一緒に現像所で見た。でも、いつも見た作品の話はせずに、飲みに行って宴会だよ。そこでも、別の話ばかり。感想は直接聞いたことがないけど、「点の記」について降さんが言っていたと伝え聞いたのは、「大ちゃんは、山を登って神々しいものに出会いたかったんだろうね」。うなったね。だって、俺はそれだけのために「点の記」を撮ったようなものだから。

 最後に会ったのは2月、渋谷…

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