「兄弟仲良く」教え守った息子3人、そろって父を看取る

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それぞれの最終楽章訪問看護師とともに(1)

楽患ナース訪問看護ステーション所長 岩本ゆりさん

 私は訪問看護師として活動しています。これまで東京都足立区にある訪問看護ステーションのスタッフとともに、在宅患者のケアをして、200人以上の方々を看取(みと)ってきました。その中で感じるのは「人は自分の死ぬ時を選ぶ」「最期にそばにいる人を選ぶ」ということです。そんなことを感じたケースを紹介していきたいと思います。

 田口毅さん(享年85)には、3人の息子さんがいました。奥さまは数年前にがんで亡くなられました。末期の前立腺がんが骨などに転移し入院していましたが、病院での治療手段がなくなり在宅に移行しました。元々は、別の病院に転院するまでの経過措置の予定でした。しかし結局、最期まで約9カ月在宅で過ごしました。

 2018年6月から、訪問看護を始めました。しばらくは普通に食事をし、穏やかな時を過ごされていました。毎日夕方になると、自転車で近くの西新井大師総持寺に眠る奥さまのお墓参りに行くのが日課でした。

 現役時代は、夫婦で銭湯を経営し、ほとんど休みなく夜中まで働いたといいます。「女房には苦労をかけたのに、生きているうちは何もしてあげられなかった。これが仕事みたいなもんだ」。体調が悪くても、自転車を押しながらお墓に通っていました。

 仲の良い家族でした。3人の…

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