防衛省が宇宙分野で米軍との連携を深めるため、米空軍基地に常駐する連絡官の派遣を検討していることが明らかになった。米国は2020年までに宇宙軍を、日本は22年度までに「宇宙領域専門部隊」を発足させる予定で、防衛省は米空軍基地に常駐する連絡官の派遣について検討を進めている。岩屋毅防衛相と、来日しているシャナハン米国防長官代行は4日に会談し、宇宙分野でも連携を深めることを改めて確認した。

 防衛省関係者によると、同省は米西部カリフォルニア州の空軍基地にある宇宙作戦センターへの常駐連絡官の派遣を検討している。情報共有や日米の調整に当たることを想定しているという。

 防衛省が新たに発足させる宇宙領域専門部隊は、山口県に高性能の地上レーダーを新設し、空自の府中基地で24時間、宇宙状況に関する情報を集約する。23年度から本格運用し、衝突すれば日本の人工衛星の脅威となる宇宙ゴミや、中ロなどほかの国々の人工衛星の動向を監視。監視は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で行い、得られた情報は米軍のシステムとも連結をして共有する。

 また、自衛官の任官時に「宇宙」という職種を新たに新設。専門人材の育成も始める方針という。

 宇宙分野を強化する背景には、「あらゆる現代の軍事行動は宇宙空間が基盤になり、依存度を深めている」(防衛省関係者)状況がある。通信や測位、画像収集などの人工衛星に問題が生じれば、自衛隊の部隊間の通信や位置情報の把握、ミサイルの早期警戒に支障が出る。中ロは米国などの衛星に近づき、妨害行為をする「キラー衛星」を開発しているとされる。

 日米両国は5月下旬の首脳会談でも、米国が計画する月探査など宇宙分野での協力を確認した。(山下龍一)