「叱責の声が…」居住まい正した日韓当局者、厳しい現実

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編集委員・牧野愛博
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 5月24日夕刻の東京・市谷。ビルの6階に準備された会場で笑みをたたえて来場者を迎える女性がいた。JR新大久保駅で2001年、線路に落ちた人を助けようとして電車にはねられた韓国人留学生、李秀賢(イスヒョン)さん(当時26)の母、辛潤賛(シンユンチャン)さん(69)だ。

 来場者は、辛さんの夫、李盛大(イソンデ)さんの死を悼んだ。今年3月、病気のため79歳で亡くなった。会場正面の祭壇に飾られた生花の中に、穏やかな表情の遺影があった。

 事故後に寄せられた弔慰金は日本で学ぶアジアの留学生を支えている。毎年1月の李秀賢さんの命日と、10月の奨学金授与式には必ず、夫婦そろって来日してきた。

 辛さんは「口数の少ない夫でした。私がいつも代弁者だった」と語る。この日、出席した奨学会関係者は、02年から昨年まで897人に奨学金が送られたと報告した。

 16年の大みそか、夫婦が住む釜山の日本総領事館前に、慰安婦を象徴する少女像が設置された。李盛大さんは自宅でテレビのニュースを黙って見つめていた。

 辛さんが傍らで「解決方法がないものか。心が痛む」とつぶやくと、李盛大さんもうなずいたという。

 当時、ふたりが気遣った人物の一人が森本康敬釜山総領事(当時)だ。

 日韓関係が最悪といわれるな…

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