朝乃山を奮い立たせる震える字 平幕Vに導いた「遺言」

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松本龍三郎 内田快 田添聖史
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 25日、大相撲夏場所で平幕の朝乃山(25)が初優勝を果たした。富山県出身者の幕内優勝は、103年ぶり2人目だ。角界入りの道筋を作ってくれた故郷の恩師の「遺言」を胸に、この日も土俵へ向かった。

 優勝を決めても、表情はほとんど崩れなかった。「これに満足せず、もっと先があるのでそこを目指して頑張りたい」

 本名は石橋広暉(ひろき)。だが、しこ名は「朝乃山英樹」という。下の名は、富山商高の相撲部監督だった浦山英樹さんからもらった。浦山さんとの出会いがなければ、今の朝乃山はない。

 中学3年の夏、大会で左ひじを骨折した朝乃山は「もうやめよう」と決めた。必死に止め、富山商に誘ったのが、目をかけてくれていた浦山さんだ。183センチ、100キロの頑強な体に長いリーチ。今の武器である右四つの形を2人で磨いた。浦山さんの母校・近大を経て、高砂部屋へ。所要6場所で関取昇進を決めた。

 2017年初場所。新十両を確実にした一番の翌日、40歳だった浦山さんはがんでこの世を去った。葬儀で、浦山さんの妻から手紙を手渡された。褒めてくれた記憶のない浦山さんが、震える字でつづっていた。「お前はよく相撲を頑張っている。俺の誇りだ」。場所入りの際は必ずこの手紙と数珠を巾着に入れて持ち歩く。花道で時折、恩師の言葉を思い出す。気持ちが奮い立つからだ。

 富山県出身力士の幕内優勝は…

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